2020年度からプロンプト・Kは「高知県IoPプロジェクト及びIoPクラウド(通称:SAWACHI) 参考URL:https://kochi-iop.jp/」において「IoPクラウド」の開発管理業務を担当しています。同社は実質的な“アーキテクト”として、IoPクラウドのシステム構築及び開発・運用の設計を担当し運用の道筋をつけただけでなく、地元ベンダーを主体としたサステナブルな地域発展を目指した産官学スキームの構築に大きく貢献しています。2022年度からは、IoPクラウドのテストベッド環境を活用し、県内企業が自社のデバイスやシステムに、クラウド通信機能やAPI連携機能を付加させる改良・開発を行うスキル獲得やエンジニアコミュニティの創出を目指す「IoP技術者コミュニティ(高知県サイト)」が設立され、この技術者組織における運営事務局、プログラミング講座製作と運営を担当しております。
第2回SAWACHI画像AIセンシング講座(2022年10月21日)の様子
紹介記事
当日の様子については、高知IoPプロジェクトのホームページで公開されています(記事はこちら)
はじめに
2022年8月の第1回のSAWACHIエンジニア養成講座(講座の記事)からはじまった講座も今回で2回目の開催となりました。今回の講師は、前回のIoP技術者講座で座学を務めた菊永がワンマンで講師を務め、岩倉がサポートしながら、天辰が現場のタイムテーブルやWeb中継を仕切るという布陣で臨みました。
午前中(座学)
今回の第2回SAWACHI画像AIセンシング講座は、午前(座学)と午後(ハンズオン)の基本構成に加えて、会場である高知県農業技術センター様のご厚意で、実際にナスが栽培されている試験ハウスの見学会も開催されました。 午前中の座学では、まず世の中のAIに関連した最新のトレンドを知るところから始まりました。近年「AIの民主化」といわれるとおり「誰でも簡単にAIを活用したサービス」に触れたり活用できるようになってきています。こういった恵まれた環境を活用するために「AI(深層学習・機械学習)の概念や本質を理解する」を目的とし、菊永がエンジニアの立場で蓄積されてきた知見を交えながらのセミナーとなりました。 画像認識やDLによる写真内の年齢や性別の推定や文字と音声の合成といった5つのAI体験から始まり、機械学習(AIの開発・利用)の仕組みを学びながら学習と推論に至るまでの一連の開発方法を分かり易く体系立って学べる内容になっていました。実際のサービスや業務改善にAI(DL/機械学習)を適用してきた菊永の経験談を交えることで、単に便利だとか凄いといった可能性の理解だけでなく、問題点や不向きな分野についても受講者の皆さんへの気付きがあったのではないでしょうか。
(AIについて解説する菊永)
IoPビニールハウス見学
午後のハンズオンに移る前に今回の画像センシングの対象となりうる実際の施設園芸用ハウスを見学しました。よく「三現主義=現場・現物・現実」を大切にしろとは言われますが、リアルな世界をセンシングするには、エンジニアが実際の施設園芸用ハウスを知らなくては話しになりません。 今回は、高知県農業技術センター様のご厚意でIoPクラウドに接続されている「IoPハウス(なす)」の見学会を開催していただきました。IoP技術者コミュニティとはいえ、受講者の皆さんの半数は初めてハウスに入った方ばかりで新鮮且つ貴重な体験だった様子です。最新の施設園芸用ハウスは、高い軒高の広々とした空間で様々な設備が張り巡らされ、当然のように環境測定装置や制御装置が配され、あたかも工場のような様相なのは驚きだったかもしれません。また、研究員の篠田さんの分かり易い解説付きとあっては面白くない筈がありませんね。
(IoPハウスの様子)
午後(ハンズオン)
午後のハンズオンは「自社・担当事業領域における企画立案&キーマンになる」をテーマに「普段から課題になっている○○に利活用できる?」かや「AI を足掛かりに●●の高収益化や経費削減に繋げられるか?」を、ハンズオンを通じて知見を持ち帰り、早速企画立案し実際に自ら推進者・執行者としてアクションに移る事を目的にしたものとなっていました。
ハンズオンの内容が素晴らしかったのは言う迄もありませんが、注目すべきははその進行だったのではないかと強く感じました。具体的には、Colaboratoryクラウド環境を活用することで効率的な進行ができていました。技術的な学習をするには、まず開発環境や学習環境をどう整えるかがポイントとなりますが、今回のハンズオンでは、菊永の知見を活かした環境整備がバッチリなされており、受講者の皆さんは相当な時間を短縮しながら学習できたのではないでしょうか?
(菊永の知見と経験と綿密な準備が詰まったハンズオンの様子)
おわりに
講座の中で、AIが流行り始めた数年前から「このAIテクノロジーで何が出来るか?」といったAI活用ありきの失敗事例が絶えない現実の話しがありました。IoP技術者講座の中で伝えたかった「この課題を解決するためにどのテクノロジーが使えるか」の主旨は、AIを事業にどう活用できるか?の可能性を探しにいらした受講者の皆さんには深く伝わったのではないでしょうか? きっと受講者の皆さんも、講座スライドの中にあった「小さく・早く・正しく失敗して次へ進む」を早速実践くださるのではないか?と期待せずにはいられませんでした。
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