2020年度からプロンプト・Kは「高知県IoPプロジェクト及びIoPクラウド(通称:SAWACHI) 」において「IoPクラウド」の開発管理業務を担当しています。同社は実質的な“アーキテクト”として、IoPクラウドのシステム構築及び開発・運用の設計を担当し運用の道筋をつけただけでなく、地元ベンダーを主体としたサステナブルな地域発展を目指した産官学スキームの構築に大きく貢献しています。2022年度からは、IoPクラウドのテストベッド環境を活用し、県内企業が自社のデバイスやシステムに、クラウド通信機能やAPI連携機能を付加させる改良・開発を行うスキル獲得やエンジニアコミュニティの創出を目指す「IoP技術者コミュニティ」が設立され、この技術者組織における運営事務局、プログラミング講座製作と運営を担当しております。
(2024.05.14)
四万十町次世代団地(次世代施設園芸高知拠点)見学会の様子
IoP 技術者コミュニティで四万十町次世代団地(次世代施設園芸高知拠点)の見学を行いました。現地まではバスをチャータして移動です。
車内では四万十町次世代団地の紹介DVDの放映と、高知県農業振興部岡林IoP推進監より更に詳しい背景解説もあり、到着前からワクワク、大人の遠足気分です。
四万十町次世代団地は、2016 年に稼働を始めた、県内最大面積を誇る 4.3ha の次世代型園芸施設です。従来の約 3 倍の 6m の軒高や、最新の統合環境制御システム、ロボットを活用した集出荷など、最新の技術を駆使しています。
IoP 技術者コミュニティでは、この施設でトマトの生産を行う有限会社四万十みはら菜園様、株式会社ベストグロウ様のご協力を得て、今回、特別に施設を見学させていただきました。
高さ 6m の軒高、4.3ha の広大なハウスには、太陽光がたっぷりと入り込み、中に入ると開放感があります。トマトものびのびと育っているように感じました。トマトにとって理想の環境であるだけでなく、作業する人にとっても働きやすい工夫が印象的でした。トマトの株がハウス上部から吊り下げられており、作業者の負担が少ない高さで収穫などができるように、トマトの成長に合わせて株の位置が調整されています。成長したトマトの茎はまるで丁寧に巻き取られたロープの束のようで、見学者から驚きの声が上がっていました。
また運搬用の台車が入るレールも整備されており、作業負担を軽減しています。このレールはパイプ状になっており、中に温水を流してハウスを暖める機能もあります。細部にまで考え抜かれた設計と運用は、IoP 技術者コミュニティのメンバーにも多くの示唆を与えてくれたことでしょう。
環境への配慮も行き届いており、養液は循環させて再利用しています。回収した養液はそのままでは使用できず、紫外線による殺菌処理が必要になりますが、排出して自然を汚染するよりも、コストをかけて地域の豊かな自然を守ることを重要視していることが伺えました。
また、ハウスの暖房のためのボイラーにはバイオマス燃料も使用しており、化石燃料利用の削減にも貢献しています。経済的な効率化だけでなく、環境にも配慮して運営されています。
IoP 技術者コミュニティでは施設の環境データや、生育データの取得に高い関心があり、どのようにデータを取得しているかを詳しく質問させていただきました。環境データをセンサーで取得していることはもちろんのこと、花数や実数だけでなく受粉状況を示すハチの「バイトマーク」など生育データも重視して細かく記録していることに、データが経営に与える重要性を改めて感じました。ただ、データの収集と分析に労力と時間がかかること、それを素早く現場に反映させる経営判断にはご苦労も感じました。また、自然現象(日照量やハチの活動)に左右される点で他の産業よりも生産管理が難しいことも農業の特徴であることを再認識しました。
IoP 技術を活用してどのように農業に貢献できるか、今回の見学を通じて多くの示唆を得ることができました。IoP 技術者コミュニティのメンバーが新たなアイデアを生み出し、地域の農業に貢献できるといいですね!
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