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令和6年度 SAWACHIエンジニア講座 営農アプリ開発編の講師を務めました


2024年9月4日・10月5日に開催された「令和6年度 SAWACHIエンジニア講座 営農アプリ開発編」で講師を務めました。この記事では、講座の背景や成果について詳しく共有させていただきます。



事前告知資料より
事前告知資料より


なぜ IoP × ローコード開発なのか


IoPクラウド(SAWACHI)は、高知県が世界に先駆けて構築した施設園芸向けプラットフォームサービスです。以下の特徴を持っています:


- 大規模商用サービスレベルのIoTプラットフォーム(AWSベース)

- 多様なデータの統合(環境測定、画像、気象、出荷データなど)

- 時系列データの効率的な処理(年間数十億件規模)

- 柔軟なAPIの提供(ソフトウェア開発用とデバイス開発用)

- セキュアな接続(OpenID Connect採用)


この汎用的な技術基盤と、ローコード開発プラットフォームであるkintoneを組み合わせることで、現場のニーズに即した業務アプリケーションを迅速に開発することが可能になります。




講座の特徴と工夫点


受講者層とニーズ


今回の講座には、様々な背景を持つ方々が参加されました:


  • IT企業のエンジニア

  • 行政の職員


エンジニアに限らず幅広い受講者を想定した内容にしました。


講座設計のポイント


受講者の多様性を考慮し、以下の工夫を行いました:


1. IoPクラウドについての丁寧な座学

  • SAWACHIの特徴と基本構造の解説

  • APIの利用方法とデータモデルの説明

  • 実際のユースケース紹介


2. ハンズオンで体感する営農アプリ開発

  • kintoneアカウントを用意し、環境のセットアップなしに開発が体験できる講座設計

  • 段階的な学習ステップ

  • 実践的な例の提供




講座の実施内容


1. kintoneの基本機能とアプリ開発


まずkintoneの基礎から実践的な活用まで、以下の内容を扱いました:


  • アプリ作成の基本手順と各種設定

  • フォーム・一覧のカスタマイズ

  • 実際の農業データを用いた演習


2. SAWACHIとの連携実装


Node-REDを使用したSAWACHIとの連携を紹介しました:


  • SAWACHIからのデータ取得フローの構築

  • データの加工・変換処理

  • kintone REST APIを使用したデータ登録


難易度の高い点としては:

  • OpenID Connect認証

などが挙げられ、事前に用意しておいたNode‐REDのフローを共有することで理解していただきました。


3. 熱中症警告システムの実装


講座の集大成として、熱中症警告システムを実装しました:


今回の実装では、温度と湿度のみを用いた簡易的な熱中症危険度(WBGT値)算出方式を採用しました。



≪ 出典 ≫ 厚生労働省パンフレット「熱中症を防ごう!」(PDFファイル)


これには以下のような背景があります:

  1. 現場での実用性重視

    • 簡易な環境センサーでも取得可能なデータの活用

    • 追加機器の導入なしで始められる手軽さ

    • 農業現場での迅速な導入を可能に

  2. システム構成の最適化

    • Node-REDでのデータ処理の簡素化

    • kintoneでの可視化のしやすさ

    • リアルタイム処理の負荷軽減


機能は下記になります:


1. データ収集部分

  • 勤務管理アプリと組み合わせる

  • 温度・湿度センサーからのリアルタイムデータ取得

  • 簡易表からのWBGT値の取得

  • WBGTの算出とリスクレベルの判定


2. データ分析・可視化

  • 時系列でのWBGT変化グラフ

  • 危険度レベルの日報・週報生成

  • 過去データとの比較分析


講座を通じて見えた可能性と課題


成果と手応え


実装したシステムを試験運用した結果、以下のような効果が確認されました:


  • kintoneを使うことで簡単にアプリが開発でき、その後のデータ分析も手軽に行える

  • IoPクラウドとの連携により、リアルタイムデータの活用が容易に実現

  • 参加者それぞれの視点から新しいサービスアイデアが生まれた


新たな課題と対応策


一方で、以下のような課題も明らかになりました:


1. 技術面の課題

  • 高度な分析には別途BIツールなどを用いるのが望ましい

  • データの可視化やレポーティングには専用ツールの活用を検討

  • データを同期させるためにバックエンドの運用スキルも必要


2. 運用面の課題

  • 現場での実証実験の必要性

  • ユーザーインターフェースの更なる改善


使いやすいインターフェースを構築するにはkintoneのスキルが求められそうです


今後の展開


今回のように、IoPクラウドの汎用的なAPIを使えば様々なサービスのアイデアが生まれます。それを「IoP営農サービスアイデアソン」としてIoP技術者コミュニティで共有する場を設けることになりました。


このアイデアソンはIoPクラウドへの理解促進とコミュニティの活性化を目的としています。ビジネスプランや事業化を直接的な目的とせず、自由な発想を重視しています。また、Teamsを活用してオープンに情報共有と議論がされているのも特徴です。


まとめ


今回の講座を通じて、IoPクラウド(SAWACHI)とノーコードツールの組み合わせが、農業分野のデジタルトランスフォーメーションを加速させることを期待されました。今後も、高知県の農業のさらなる発展に向けて、技術支援を続けていきたいと考えています。

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